エンジニア の 独り言

ホーンの特性

知られているようで、実はほとんど知られていない性質がホーンにあります。



上の画像はAH520ですが、このホーンは2インチのスロートを定指向性ホーンや
ラジアル・ホーンのように狭めることなく、エクスポネンシャル・カーブでスムーズに
広がるように設計されており、一般的にいわれるホーン臭さは微塵も感じられない
ようになっています。



上の特性表はRADIANのドライバー950を取り付けた場合のデータです。
インピーダンス・カーブからも分かるように、しっかりホーン・ロードがかかっています。
しかし、この周波数特性には一般的なホーンが持つ性質が現れていません。



この周波数特性を見て、どのように思われるでしょうか。
実はこのデータは全く同じ条件で、マイクの位置だけをドライバーのダイアフラム
から0.5m/1m/1.5m離して測定した物です。
一般的に、ホーンは近接した条件で聞きますと、フレアー部分での反射が無視
できなく、このようにディップが起きてしまいます。この現象は奥行きのあるホーン
で特に顕著で、この影響から逃れるにはAH520でも2mは必要で、普通のホーン
では最低でも3〜5mは離れなければ本来の周波数特性にはなりません。



上の画像はAH820ですが、奥行13cmという新しい設計思想により、伝統的なホーンの
呪縛から逃れることに成功しています。



このホーンもスロートを全く狭めることなくエクスポネンシャル・カーブを維持しており
十分なホーン・ロードがかかっています。



このデータもAH520の時と同じように、マイクの位置だけをドライバーの
ダイアフラムから0.5m/1m/1.5m離して測定した物ですが、近接しても
離れても周波数特性は変化しません。
これはダイレクト・ラジエーター型のスピーカーと同じ性質で、AH820
ホーン臭くないという評判をデータの面からも裏付けています。
スタジオ・モニターのように、あまりスピーカーから離れられないシステムに
最適ですし、位相の乱れも非常に少ないため、遠く離れた位置で聞いても
明瞭度が高いため、近くてもうるさくなく、遠くてもハッキリ聞こえるというPA
にも非常に有利な性質を持っています。


続く