この画像はエミラーで作られていた典型的な2インチのスロートのラジアル型ホーンの EH500ですが、設計された1970年代では他のラジアル型ホーンとの比較では、かなり スムーズでホーン臭くないと言われていましたが、現在の基準でチェックしますと、少し 問題があります。 |
上の2枚の特性表はEC320を取り付けて、1m(上)と3m(下)の位置から測定したデータ です。 EH500の場合、当時としては例外的に高音域のビーミングが少なかったのですが、距離 が遠くなるに連れて高音域がロールオフしているのがお分かりいただけると思います。 この傾向は遠くなるほど顕著になり、数十mも離れますと、10kHz以上のレスポンスは極端 に低下します。 ALTEC等が以前発表していたデータを詳細にチェックしていただければお分かりいただけ ると思いますが、普通の測定では10フィート(約3m)離れた位置から測定し、能率の表示 では、そのデータを1mに換算して発表していました。 1mで測定したデータですと、実際に使用している時の特性とはかけ離れた物になってしまう からです。 近くだとうるさく、遠くだとぼけるというラジアル型ホーン独特の性質はこのようなデータからも 見て取ることができます。 |
そして、こちらがAH520の元になったEH520ですが、こちらのデータからは 別の現象が読みとれます。 |
このデータからも前のページにあるAH520の時と同じように、2m以上離れて 初めて本来の周波数特性になるということがお分かりいただけると思います。 同じドライバーを付けて周波数特性を比較してみますと、ラジアル型ホーンで あるEH500の方がスムーズに見えると感じられた方もいらっしゃるかもしれま せんが、実際に出てくるサウンドは全く逆で、スロートの口径から全く狭めること をしていない、EH520の方が滑らかなサウンドが得られます。 これはEH520の方が位相が揃っているからで、揃っているがために、ホーンの 開口部における反射の影響がハッキリしてしまっているということが言えます。 もちろん、残響が適度にある一般的な部屋では、このディップは、かなり軽減 されます。 EH500との最大の違いは、2m以遠の周波数特性が変化しないと言うことで、 高音域の遠達性は一般的なラジアルホーンとは次元が違います。 以前、某オーディ雑誌で、このEH520を取り上げた時、1mで測定したデータ だけを取り上げて、高音域にピークがあるというような批評をされたことがありま したが、ホーン本来の性質を全く理解していないという気がいたしました。 |