MJ 無線と実験
1993年11月号

タイのミュージックシーン
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タイのポップス、ロック事情

まだ(1993年当時)一般的でないCD
タイではまだCDは贅沢品の用で、普通のレコード店では売られていない。
特にタイのミュージシャンのCDの入手は難しく、スリウォン通りのロック青年が
店番をしている店でもタイのポップスやロックのCDは数少なかった。

プラトゥーナム市場でTシャツを買いながら、定員の男の子や女の子に、どんな
歌手が好きか調査し、同時にどこでCDが手に入るか聞き回ったのだが、彼ら
がここなら他の所より安いと教えてくれたサヤーム・スクエアでもタイのCDは少
なく、アメリカのCDより高かった。

結局ロビンソン、ソゴーなどのデパートでようやくお目当てのCDを探し出すこと
ができた。値段はタイの音楽市場の半分を仕切っていると言われているグラム
ミー系のMGAレーベルのCDが350バーツ程度、お目当てのカラバオやキーォ
の所属するAMICOスタジオ社のLIGO(ライゴ)レーベルのCDは390〜450
バーツ程度であった。

たとえタイの音楽のCDであっても、ここでは輸入品なのだ。しかし、シンガポール
では香港などの中国系や欧米の音楽が幅をきかし、独自のミュージック・シーン
が見あたらなかったのに比べ、ここタイでは明らかにミュージックシーンと呼べる
ものが育っているのである。

ワールド・ミュージックと言う言葉が音楽誌に載るようになって久しいが、ワールド・
ミュージックとは民族音楽を超越し世界で同時進行的にクリエイトされつつある
音楽を指す言葉であり、そういった観点から見て、本来紹介されてしかるべき
タイのポップスやロックが見落とされているようで残念である。