PA レポート

マイケル・ジャクソン
(東京ドーム)

その1      

1988年12月のある日の昼過ぎ、私は東京ドームの中にいた。
PAのブースまでは日本人のガードマンに付き添われて来たのだが、
そこから先は屈強なアメリカ人のガードマンが目を光らせていた。
私がカメラを持っているのを見ると、早速、ステージにはカメラを向け
ないようにクギをさされた。(著作権がからんでいるとのことだった。)
私のマイケル・ジャクソン・コンサートの取材はこのようにして始まった。

この取材をするきっかけは、私が当時輸入代理店をしていた超低音
再生用のサブ・ウーファーのメーカー、インターソニックスのセールス
マネージャーから取材して欲しいと頼まれたからだった。マイケル・
ジャクソンのワールド・ツアーでは当初クレア・ブラザーズ・オリジナルの
46cmウーファー2発入りのサブ・ウーファー・システムが使われていた
のだが、マイケルが会場全体を揺さぶるような超低音を要求したため、
ヨーロッパ・ツアーの最中にほとんどのサブ・ウーファーが飛んでしまい、
パワーアンプも煙を噴き上げてしまったとのことだった。そこで、急遽、
DCサーボ・モーターで超低音を楽々と再生するインターソニックスの
サブ・ウーファーが採用されたという訳である。インターソニックスとしては
USA国内でコンサートを取材させてもらってオーディオ雑誌にレポートして
欲しかったのだが、マイケル・ジャクソン側から取材の許可が取れず、
やむなくガードの緩い日本で取材をと、私に依頼してきたというワケ
だった。

私は取材にあたって、サウンド&レコーディング・マガジンとプロサウンド
の編集部に声をかけ、サン・レコの取材は私が、プロサウンドは記者と
カメラマンを私に同行させて独自に取材するということで話が付いた。
私のレポートはサン・レコの1989年3月号に掲載されていますが、もし
プロサウンドをお持ちの方は、このページの内容と比較参照されると
面白いかも....

ちなみに、今回の取材中、ガードマンの目が光っている場所では、
ヘンな誤解を招かないため、ストロボは一切使用せず、超高感度の
フィルムで撮影しました。
使用機材 : Pentax LX + SMC Pentax 24-50mmF4 & 50mmF1.7


上の写真に写っているジミー・ジェイムズ氏 ( 1 2 ) はイギリス出身で、私が
"So, you are an Englishman in Tokyo."
と、ふざけて言うと
"Yes. I am an alien. I am a legal alien." (< Englishman in New York )
と、返してくれるほど、シャレの分かる人物だった。
(この東京ドームでスティングのコンサートがあったことを話したという伏線は
 あったもののノリの良い人だった。)
彼はサウンド・エンジニアといえる人物で、スピーカー・アレイのスタッキング
や、チャンネル・ディバイダーのレベル設定や、基本的なイコライジングなど
会場の音づくりの基礎になる作業を担当していた。