EMS LB12 MKII


現代のウーファーの場合、ローエンドのロールオフ特性を決めるQを0.7程度にしてからバスレフのポートにより
低音を増強するのが一般的ですが、ユニットのQtが低すぎる場合、0.7にするにはかなり容積を小さくする事に
なり、必然的に低音が伸びていないカンカンとしたサウンドになりがちです。
逆に、容積を大きくするとローエンドは伸びるもののダラ落ち傾向が出てくる上、バスレフの増強分がボンボンと
歯切れが悪く、制動が効かない分、歪みも急増してしまいます。



最適なエンクロージャーの容積を決定するに当たり、ALTECのフルレンジスピーカーユニットの417の時のデータを
参考にし、通常の30cm用と38cm用の中間の容積にしました。
通常の30cm用の容積にしてしまうと、反共振周波数は60Hz以上になってしまうことは確実でしたが、バスレフの
チューニングも微妙にずらすことにより、40〜50Hzは無理なく再生できるようにした結果、低音が入った場合でも
コーン紙の振幅が大きくならず、フルレンジスピーカーユニットで最も問題となる混変調歪みの低減にも成功した
ようです。



ユニット間のバラツキもほとんどなく、ほぼ想定どおりの周波数特性が得られました。
一見すると1kHz以上がハイ上がりのようですが、これは高音域に向かって指向特性が狭まる
事によって起きるビーミングのせいで、デッドな部屋で、スピーカーの軸上で聴かない限り、
それほど問題にはなりません。

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