エンジニア の 独り言

コネクターへの執念

最近ではコストや入手の容易さからスピコンがスピーカー用のコネクターと
して、一般的に使われていますが、一昔前まではEPキャノンがプロの間では
標準と見なされていました。

当社がオーストラリアから輸入を開始するまではEP-4-11が1個1万2千円も
していて、うっかりネジを紛失しようものならPA会社では始末書モノだったよう
です。当社では取り扱い開始時点で、いきなり3分の1の価格にしてしまい、
その後もいわゆる価格破壊を続けましたので、EPコネクターはプロの間では
かなり一般的になったようです。しかし、EPコネクターには大きな問題があり
ました。それは品質管理の悪さと納期のルーズさでした。100個入りのはず
の袋に98個しか入っていないというのはまだ良い方で、ネジがあわなかったり
3ヶ月間も平気で品切れ状態という事も、しょっちゅうでした。
そのうち、ノイトリク社からスピコンが発売され、納期の確実さや価格の安さ
から、USAでは瞬く間にEPコネクターを駆逐してしまったようです。もちろん
品質や使い勝手を重要視する大手のPA会社ではEPコネクターを使い続け
ていますが、劣性は挽回できていないようです。



そんな時期、オーストラリアではこの画像のようなコネクターが開発されて
いました。


一見すると、何の変哲もないプラグとレセプタクルですが、これには
大きな秘密が隠されていました。


プラグとレセプタクルが1種類ずつしか無いのですが、なんと、オスもメスもなく
同じプラグ同士でも接続が可能だったのです。
シェルは金属製で踏んでも大丈夫でしたし、アイデアとしては、かなり面白い
コネクターでした。
結局、2ピンしかなく、マルチに対応していなかったため、普及はしませんでし
たが、このようなコネクターを開発し試作品まで作ってしまうパワーには驚かさ
れました。できればこのパワーをEPコネクターの品質管理と在庫管理に回して
くれたら、スピコンにシェアーを奪われることはなかったのにと、今でも思ってい
ます。