エンジニア の 独り言

CARVIN

先日、お客様からCARVINのドライバーにRADIANのダイアフラムが取り付けられ
ないかという御質問があり、現物を送っていただいてチェックしたのですが、残念な
がら寸法がJBLともRADIANとも異なり、転用は不可能でした。

せっかくですので、特性を含め細部を検証することにいたしました。



ダイフラムでまず疑問に感じたのは、エッジの形状とターミナルからボイスコイルへの
リード線です。このように太い線を使いますと、ダイアフラムの動きに悪影響が及ぼす
可能性が非常に高いように思われます。



センタリングをだす方法も、RADIANやJBLのように凹んだ溝にダイアフラムの外周
のリングを落とし込むのではなく、凸ったプレートに凹んだ外周のリングをはめる
タイプでした。



驚いたことに、フェイズプラグがプレートから浮いたような形状をしており、普通ですと
最外周にもあるはずのスリットがなく、単なる2重スリットになっていました。これですと
コンプレッション比が高くなり、空気歪みの点で不利なように思われます。
またこの部分にわざわざ隙間をつくる必要があるのか疑問です。



ホーンのスロートも一昔前のEVのようにネジが切ってあり、ドライバーを回して装着
するようになっていました。圧着度や強度面からも、なぜこの方式を採用しているのか
疑問です。



インピーダンス・カーブからは一応ホーンロードがかかっていると判断できますが
3kHzから落ち始めるなど高音域のレスポンスがイマイチのようです。特に12kHz
以上の落ち込みは激しく、15kHz以上は歪みによるものですので、高音域が出
ていないのにもかかわらず、うるさく感じられます。

USAでの販売価格はRADIANやJBLと比較するとかなり安いようですが、日本で
購入する場合、輸送コストが上乗せされますので、出せる音量だけで比較しても
RADIANの方が結果的に安く付くかもしれません。