エンジニア の 独り言

マイク/ライン・ケーブルについて

PAの業界では4芯シールドのマイクケーブルがノイズに強いと信じ込まれている傾向が強いのですが、現実にはSCRノイズに対してのキャンセリング効果には、期待するほどのものはなく、むしろマイクの出力インピーダンスやミキサーの入力インピーダンスが低い方が全てのノイズに対して有利ですので、2芯、4芯にこだわる必要はないように思われます。
私の経験では、照明用のケーブルと音声用のケーブルを沿わせてセッティングすることなどはあり得ず、SCRノイズが問題になるようなケースは一度もありませんでしたし、SCRノイズが問題になるような現場では、まず楽器系のノイズが急増しますので、マイクケーブルだけのことを考えても無意味なわけです。
純粋に音質的な観点から見ますと負荷が600Ω以上になるような条件で使われるわけですので、細目の導線でも問題ないため表皮効果も現れにくく、抵抗値より線間容量の増大による高音域のロスの方を重視する必要があります。
伸びきった超高音域を求めるなら4芯スター・クヮッドより2芯の方が優れていますので、音質重視の方には2芯をお薦めします。
一度、ステージの上でマイク−ミキサー間を直接このケーブルで接続し生音でお試し下さい。
同じマイクを2本用意し、別のケーブルで同じように接続してその場で聴き比べれば、その差には想像以上のものがある事をお分かりいただけるはずです。

私の個人的な評価では、AD/DAコンバータの前後の配線には4芯スター・クヮッドの方が、より良い結果が得られる事が多いように思われます。
最近のデジタル機器の場合、AD/DAコンバータでは超高周波の1ビットのストリーミング信号を扱っており、しかも、アナログのハイカットフィルターには位相特性を重視したなだらかなスロープの物しか使われていないため、高周波ノイズが残っている事例が良く見受けられます。
フィルターから漏れてしまった高周波ノイズをカットするには、4芯スター・クヮッドの線間容量を滑らかなハイカットフィルターとして利用するのも効果的かもしれません。
ちなみに、DAコンバータでストリーミング信号を受けるアナログアンプの入力段には高周波の過激な信号からOPアンプを守るため、コイルでハイカットをしています。